今回、本ブログにおけるコンテンツのライセンス規定を見直し、 記事本文に対してクリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示 - 継承 4.0 国際 (CC BY-SA 4.0) を適用することとした。
これまで深く考えず全体にMITライセンスを適用していたが、ソースコードと文章の特性の違いについて改めて考えた結果、 両者を明確に区別し異なるライセンスで運用することが最も合理的であるという結論に至った。
今後このブログのコンテンツはそれぞれのライセンスにしたがって自由に利用してもらって構わない。
## ライセンス詳細
### 記事本文:CC BY-SA 4.0
通常の文章、解説、図版には CC BY-SA 4.0 を適用する。 このライセンス下では、以下の条件を守る限り、営利・非営利を問わず自由に共有・改変を可能とする。
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BY(表示): 原作者のクレジット(氏名や記事へのリンク)を表示すること。
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SA(継承): 改変して公開する場合、元の作品と同じ CC BY-SA ライセンスで公開すること。
### ソースコード:MITライセンス
記事内に含まれるシンタックスハイライトされたコードブロック および独立したファイルとして提供されるソースコードについては、引き続きMITライセンスを適用する。
これにより記事としての文脈(CC BY-SA)から切り離し、純粋な技術的構成要素として 読者のプロダクトやプロジェクトに、ライセンスの範囲内で制約なく組み込むことを保証する。
以下、その背景にある私のライセンスに対する考え方について説明する。
## OSSと自由の定義
私はOSSの文化が好きだ。 OSSとは単にソースコードが公開されており、パブリックに開発が進む形態のソフトウェアを指すのではない。
私が大切にしたいのはOSSの本質であるユーザーの自由だ。 それはソフトウェアを使う誰もが自分の目的に合わせて自由に改変、共有できる権利が保証されていることである。 そして、その自由な活動を通じて知見がコミュニティに還元され、次の人の助けになるという循環が生まれることを私は大切にしたい。
もちろん、この自由には著者の意図しない用途に使われることさえも許容するという側面も含まれる。 しかし私はそのリスクを受け入れてでも、知識の連鎖をオープンに保つことに価値を感じている。
しかし、この姿勢はプロプライエタリなソフトウェアを否定する、あるいはGPLライセンスのみを推奨するという意味ではない。 自由を尊重するからこそ、それぞれの特性に合わせた柔軟なあり方を認めたいと考えている。
## 道具としてのコードと利便性
ソースコードは何らかの課題を解決するための道具であると考えている。
道具としての価値を最大化するためには利用者が自身の環境に合わせて自由に改変でき、 ライセンスの互換性や法的リスクを懸念することなくスムーズにプロダクトへ統合できる状態が理想的だ。
もちろんフリーソフトウェアの思想において、ユーザーの自由を恒久的に守るためにGPLのような強いコピーレフトを持つライセンスが有効であることは理解している。 そして実際Linuxカーネルのようにこの仕組みによって発展した巨大なエコシステムも存在する。
しかし、GPLの持つその強力な継承性はソフトウェアの自由を守る障壁となる一方で、プロプライエタリな製品への組み込みを制限するため、ビジネスでの採用を躊躇させる要因にもなりうる。
だから私は自分が書いたコードについては思想的な厳密さよりも道具として誰でも気兼ねなく使えることを優先したい。 そのためには、コピーレフトの制約を課さないことが最も現実的な選択肢であると考えた。 そして私が公開するプロジェクトでは基本的に Apache License 2.0 あるいは MIT ライセンスを適用する方針としている。
## 知識としての文章と公共性
一方で、記事本文は私の知識、考え、試行錯誤のプロセスそのものである。
記事を読んで得た知見を元に自身の言葉で新しい記事を書いたり、コードを書いたりすることは歓迎する。 もちろん通常の引用の範囲内であれば、ライセンスはもちろん法的にも何の制限もない。
しかし、記事そのものを改変して再配布する場合、例えば、他言語への翻訳版の公開や内容を補足した改訂版の作成などについては その成果物もまたオープンであり続けてほしいと考えている。
記事はソースコードのように他のプロダクトの機能的な部品として頻繁に組み込まれる性質のものではない。 したがって再配布時に継承を求めるコピーレフトの考えはソースコードよりも利用の障壁となりづらく、 受け入れられやすいと考えている。 そして先に述べたように私は知識は誰かに独占されるものではなく、コミュニティ全体の共有財産として循環し続けてほしいと願っている。 つまり誰かが私の記事を発展させたなら、その成果もまた次の誰かのために開かれていてほしい。
だからこそ二次著作物にも同じライセンスを要求するSA条項を持つCC BY-SAを選択した。 これはAIによる翻訳や要約などの改変であっても同様である。
なお今回の変更にあたってNC(非営利)条項はあえて採用していない。 非営利の定義は非常に曖昧であり有益な二次利用まで不用意に妨げてしまうリスクがあるからだ。
例えば、広告収入のある技術ブログで翻訳版を公開するケースや 企業のオウンドメディアで社内研修資料として改訂版を掲載するケースなど、 金銭の授受が発生するからといってその共有を止める必要はまったくない。 さらに利用目的に制限をかけないことは私が大切にしている誰でも自由に使えるというOSSの文化そのものである。
## おわりに
今回のライセンス規定の見直しはブログを構成する要素を機能的価値と概念的価値の2つに再定義し、 それぞれに適した自由を与えるための最適化の結果である。
ソースコードは課題解決のための機能的な道具である。 道具としての価値はあらゆる文脈で使われ、活用されることで最大化される。 だからこそ利用における障壁を極限まで減らすMITライセンスを選択した。
一方で記事本文は、思考や哲学を伝える概念的な知識である。 知識としての価値は特定の誰かに囲い込まれるのではなく、 コミュニティ全体で共有されオープンに継承され続けることで最大化される。 その知識の連鎖を保証するためにCC BY-SAを選択した。
私は数年にわたってOSSと向き合った末このような結論に至った。 これは私のOSSに対する態度の表明だ。